視神経の病気

視神経炎

ししんけいえん / optic neuritis

目で受け取った情報を脳へ伝える視神経に炎症が起こり、数日のうちに急に視力が低下する病気です。目を動かすと奥が痛むのが特徴で、多くは片目に起こります。背景に全身の病気が隠れていることがあり、原因を調べたうえでの治療が大切です。

図 1

視神経炎のときの眼底

左は境界のはっきりした正常な視神経乳頭がある眼底、右は視神経乳頭が炎症ではれて赤みを帯び、境界がぼやけた眼底の対比。
視神経乳頭は、視神経が目から出ていく「出口」にあたる部分です。炎症がこの出口の近くで起こると、右の図のように乳頭がはれて赤みを帯び、周囲との境界がぼやけます。一方、炎症が目より奥で起こるタイプ(球後視神経炎)では、視力が下がっていても眼底は正常に見えます。眼底の見た目だけでは判断できないため、視野検査やMRIなどを組み合わせて調べます。

こんな症状に注意

  • 数日のうちに急に視力が低下する(多くは片目)
  • 目を動かすと目の奥が痛い(特徴的な症状です)
  • 色が薄く見える(特に赤がくすんで見える)
  • 視野の中心が暗い、かすむ
  • まぶしさを感じる

どんな病気?

視神経に炎症が起きて腫れ、信号がうまく伝わらなくなることで見えにくくなります。多くは免疫のはたらきが自分の神経を攻撃してしまうことで起こります。

背景にある病気

  • 多発性硬化症(MS):視神経炎が最初の症状として現れることがあります。
  • 視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD):抗アクアポリン4抗体が関わり、視力低下が強く、再発しやすい傾向があります。
  • MOG抗体関連疾患:両目に起こることや、腫れが強いことがあります。
  • 感染症のあと、特発性(原因がはっきりしないもの)など。

どのタイプかによって治療や再発予防の方針が変わるため、原因を調べることがとても重要です。

検査・診断

  • 視力・色覚検査:色の見え方の低下は視神経の障害を示す手がかりです。
  • 瞳孔の反応(RAPD):光に対する瞳の反応の左右差を調べます。
  • 視野検査:中心を中心とした見えない範囲を確認します。
  • 眼底検査:視神経の出口の腫れを確認します(腫れが見られない「球後視神経炎」もあります)。
  • MRI検査:視神経や脳・脊髄の炎症の広がりを調べます。
  • 血液検査:抗アクアポリン4抗体・抗MOG抗体などを測定します。
  • OCT・髄液検査:必要に応じて行います。

治療

炎症を早く抑えることと、原因に応じた再発予防が治療の柱です。神経内科と連携して進めることが多い病気です。

ステロイドパルス療法(急性期の中心)
高用量のステロイドを点滴で数日間投与し、炎症を速やかに抑えます。その後、内服で徐々に減らしていくことがあります。回復を早める効果が期待されます。
血漿交換(重症例)
ステロイドで十分に改善しない場合や、視力低下が強い場合に行われることがあります。
再発予防の治療
NMOSDやMOG抗体関連疾患、多発性硬化症と診断された場合は、再発を防ぐための治療(免疫抑制薬や生物学的製剤など)を継続します。再発をくり返すと視力障害が残りやすいため、予防がとても重要です。
原因疾患の治療
感染症など、はっきりした原因がある場合はその治療を行います。

見え方の回復について

多くの場合、治療によって視力は回復に向かいますが、色の見えにくさやコントラストの低下が残ることがあります。回復には数週間から数か月かかることもあります。タイプによって回復のしやすさが異なるため、診断を確定させることが大切です。

早めに眼科へ

次のときはすぐに受診してください

  • 片目の視力が急に低下した
  • 目を動かすと奥が痛む
  • 色が急に薄く・くすんで見える
  • 以前に視神経炎と言われたことがあり、同じ症状が出た(再発の可能性)

早く治療を始めることと、原因を調べることの両方が重要です。

最終更新
2026年8月

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