手術のあとに起こる変化
眼内レンズ脱臼
がんないレンズだっきゅう / IOL dislocation
白内障の手術で入れた人工のレンズ(眼内レンズ)が、年月がたってから本来の位置からずれることがあります。急に見え方が変わるのが特徴で、多くは手術でレンズを固定し直すことで改善が期待できます。
図 1
眼内レンズの位置
こんな症状に注意
- 急に見え方がぼやける・かすむ
- ものが二重に見える(片目でも)
- 目を動かすと見え方が揺れる
- レンズの縁が見えることがある
- 眼鏡の度が急に合わなくなった
白内障の手術から何年もたってから起こることが多く、「手術した目が急に見えにくくなった」というかたちで気づかれます。
どんな病気?
眼内レンズは、水晶体を包んでいた薄い袋(嚢〈のう〉)の中に収まり、その袋を支える細い糸のような組織(チン小帯)によって安定しています。この支える組織が弱くなると、レンズが袋ごと傾いたり、目の奥(硝子体)へ落ち込んだりします。
起こりやすい背景
- 加齢による支持組織の弱まり(手術から10年以上たって起こることもあります)
- 落屑(らくせつ)症候群など、もともと支えが弱くなりやすい体質
- 強度近視、目のけが(外傷)
- ぶどう膜炎、硝子体手術を受けたことがある、アトピー性皮膚炎による目のこすりすぎ
検査・診断
- 視力・屈折検査:見え方の変化と度数のずれを確認します。
- 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査:レンズの位置・傾きを直接観察します。
- 散瞳しての検査:瞳を広げて、レンズ全体や支えの状態を詳しく調べます。
- 眼底検査・超音波検査:レンズが目の奥へ落ち込んでいないか、網膜に問題がないかを確認します。
- 眼圧検査:ずれにともなう眼圧の上昇がないかを調べます。
治療
ずれの程度と見え方への影響によって方針が決まります。基本は手術で、レンズを正しい位置に固定し直すか、新しいレンズに入れ替えます。
- ずれが軽い場合
- 見え方への影響が小さければ、眼鏡での調整をしながら経過観察とすることがあります。ただし進行することがあるため、定期的な診察が必要です。
- レンズを固定し直す手術
- ずれたレンズを本来の位置に戻し、強膜(白目の壁)に糸で縫いつけたり、強膜内に脚を差し込んだりして安定させます。もとのレンズを活かせる場合に選ばれます。
- レンズを入れ替える手術
- もとのレンズが使えない場合は取り出し、新しいレンズを固定します。目の状態によって、固定の方法(縫着・強膜内固定・虹彩支持など)を選びます。
- 奥に落ち込んだ場合
- レンズが硝子体(目の奥)へ落ちてしまったときは、硝子体手術で回収したうえで、新しいレンズを固定します。
手術後について
術後は炎症や眼圧の変動、まれに網膜剥離などが起こることがあるため、点眼を続けながら定期的に診察します。見え方が落ち着くまでには時間がかかることがあり、最終的な眼鏡合わせは状態が安定してから行います。
気づいたら早めの相談を
ずれた状態が続くと、炎症や眼圧上昇、角膜への負担につながることがあります。「以前手術した目の見え方が急に変わった」と感じたら、早めに眼科でご相談ください。
早めに眼科へ
こんなときは受診を
- 急に見えにくくなった、二重に見えるようになった
- 目の痛み・充血をともなう
- 白内障手術を受けた目で、見え方が大きく変わった