黄斑の病気

網膜前膜(黄斑前膜)

もうまくぜんまく(おうはんぜんまく)/ epiretinal membrane

黄斑の表面に薄い膜が張り、網膜にしわが寄る病気です。ものがゆがんで見えたり、大きく見えたりします。進行はゆっくりで、症状が軽ければ経過観察とすることも多い病気です。

図 1

黄斑の表面に張る膜(眼底と断面)

左は正常な黄斑の眼底と断面、右は黄斑の表面に膜が張り網膜にしわが寄った眼底と断面の対比。
上は目の奥(眼底)を正面から見た図、下はその断面(OCT検査の画像)です。黄斑の表面に張った膜が縮むと網膜にしわが寄り、断面でも中心のくぼみが失われて厚くなっているのがわかります。

こんな症状に注意

  • ものがゆがんで見える(変視症)
  • ものが大きく見える(大視症)、左右で大きさが違う
  • かすんで見える、視力が落ちてきた
  • 自覚症状がないまま、健診や他の検査で見つかることもあります

どんな病気?

加齢とともに硝子体が網膜からはがれる際、黄斑の表面に薄い膜が残ることがあります。この膜が縮むと網膜が引っ張られてしわができ、ものがゆがんで見えます。

原因

  • 加齢によるもの(特発性)が最も多く、50歳以降で増えます。
  • 網膜裂孔・網膜剥離の治療後、ぶどう膜炎、網膜静脈閉塞症などほかの目の病気に続いて起こることもあります。

検査・診断

  • OCT(光干渉断層計):膜の厚さ、網膜のしわ・むくみの程度を確認します。診断と手術時期の判断に役立ちます。
  • 視力検査・アムスラーチャート:ゆがみの程度を確認します。
  • 眼底検査:黄斑表面の膜の広がりを観察します。

治療

点眼薬で膜を取り除くことはできません。治療は手術のみですが、進行がゆっくりなため、急いで手術する必要がないことも多い病気です。

経過観察
症状が軽く、日常生活に支障がなければ、定期的にOCTと視力を確認しながら様子をみます。進行が遅い方では、そのまま手術に至らないこともあります。
硝子体手術
日常生活に支障が出てきたら手術を検討します。硝子体を取り除いたうえで、膜と、その下のごく薄い膜(内境界膜)をピンセットではがします。多くは局所麻酔で行われます。
手術のタイミング
「ゆがみで生活が不便」「視力が下がってきた」が目安です。変形が強く長く続いた状態で手術すると、ゆがみが残りやすいため、進行を見ながら適切な時期を相談します。

手術後について

  • ゆがみや視力は数か月かけて少しずつ改善します。すべてが元どおりになるとは限らず、ゆがみが残ることもあります。
  • 手術後に白内障が進むことが多く、白内障手術を同時に行うこともあります。
  • まれに膜が再びできることがあり、定期的な診察を続けます。

日常生活・注意したいこと

  • 片目ずつ見え方を確かめる:両目で見ていると気づきにくい病気です。ときどき片目を隠して、格子や窓枠のような直線を見てみましょう。
  • あわてる必要はありません:進行はゆっくりで、急に見えなくなる病気ではありません。ただし変化には気づけるようにしておきましょう。
  • ゆがみが強くなったら相談を:手術の時期を考える目安になります。「読み書きがしづらい」「家事や運転で困る」といった具体的な支障を伝えると相談しやすくなります。
  • 経過観察中も定期的に受診を:症状が軽くても、OCTで少しずつ変化していることがあります。
  • 手術後も焦らずに:ゆがみや視力の改善はゆっくりで、数か月かけて落ち着いていきます。

「様子をみる」も立派な選択です

網膜前膜は、症状が軽ければ手術をせずに経過をみることが多い病気です。一方で、ゆがみが強く長く続いた状態で手術すると、見え方が戻りにくいこともあります。困りごとの程度を主治医に率直に伝え、時期を一緒に決めていきましょう。

最終更新
2026年8月

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