涙の通り道の病気
涙嚢炎(急性・慢性)
るいのうえん / dacryocystitis
涙は目頭から鼻へ流れていきます。その涙の通り道にある涙嚢〈るいのう〉に細菌が感染して炎症を起こす病気です。急に赤く腫れて強く痛む急性と、涙目や目やにが続く慢性があります。
図 1
涙の通り道と涙嚢炎
こんな症状に注意
急性涙嚢炎
- 目頭の下が赤く腫れて、強く痛む
- 腫れた部分が熱をもつ
- まぶたまで腫れる、目が開けにくい
- 発熱することもある
- 押すと膿が出てくる
慢性涙嚢炎
- 涙があふれる(流涙)、いつも涙目
- 目やにが続く、朝に多い
- 目頭を押すと粘液や膿が目のほうへ逆流してくる
- 結膜炎をくり返す
どんな病気?
涙は目を潤したあと、目頭にある小さな穴(涙点)から涙小管を通って涙嚢に集まり、鼻涙管を通って鼻へ流れます。この出口が詰まると涙嚢に涙がたまり、細菌が増えて感染を起こします。
背景にあること
- 鼻涙管閉塞:加齢にともなうものが最も多く、中高年の女性に多くみられます。
- 鼻や副鼻腔の病気、顔面の骨折や外傷
- 涙嚢内の結石
- 生まれつきの鼻涙管閉塞(赤ちゃんの涙目・目やにの原因になります)
放置は危険なことがあります
急性涙嚢炎の炎症が周囲に広がると、眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)という、目のまわり全体に及ぶ重い感染症になることがあります。腫れと痛みが強いときは早急な治療が必要です。
検査・診断
- 涙嚢部の圧迫:目頭の下を押して、膿や粘液が逆流するかを確認します。
- 涙道通水検査:細い管で生理食塩水を流し、鼻へ通じるかを調べます。
- 涙道内視鏡:涙の通り道の内部を直接観察し、詰まりの位置や原因を確認します。
- 画像検査(CTなど):炎症の広がりや、鼻・副鼻腔の状態を調べます。
- 細菌培養:膿から原因菌を調べ、効く薬を確認します。
治療
急性涙嚢炎(まず炎症を鎮める)
- 抗菌薬による治療
- 内服・点眼で治療します。腫れや発熱が強い場合は、点滴による治療や入院が必要になることもあります。
- 切開して膿を出す
- 膿がたまって強く腫れている場合は、切開して排膿すると痛みが早く楽になります。
- 根本治療は炎症が治まってから
- 急性期を抑えただけでは、詰まりが残っているため再発します。落ち着いた段階で、下記の根本的な治療を検討します。
慢性涙嚢炎・鼻涙管閉塞(詰まりを治す)
- 涙道内視鏡を使った処置・チューブ留置
- 内視鏡で詰まりを確認しながら通し、細いシリコーンチューブをしばらく入れて通り道を確保します。体への負担が比較的少ない方法です。
- 涙嚢鼻腔吻合術(DCR)
- 涙嚢と鼻の中を直接つなぐ新しい通り道を作る手術です。詰まりが強い場合や再発をくり返す場合に行われ、成功率の高い根本的な治療とされています。鼻の中から行う方法(鼻内法)と、皮膚を切開して行う方法があります。
赤ちゃんの場合(先天鼻涙管閉塞)
生まれつき鼻涙管が開いていないために、涙目や目やにが続くことがあります。多くは成長とともに自然に開通します。目頭のマッサージと、必要に応じて抗菌薬の点眼で様子をみて、改善しない場合は細い針金状の器具で通す処置(プロービング)を行うことがあります。
早めに眼科へ
こんなときはすぐに受診を
- 目頭の下が赤く腫れて痛む、熱がある(急性涙嚢炎の可能性)
- まぶたや目のまわりまで腫れが広がってきた
- 涙目や目やにがずっと続いている
- 結膜炎を何度もくり返す
涙目や目やにが続く場合、原因が「涙の通り道の詰まり」にあることは少なくありません。目薬だけで様子をみず、一度ご相談ください。